事業アイディア: 経営者の孤毒
こんにちは、経営コンサルタントの入野です。
本日はアイディアを思いついた後のジレンマについて解説します。
たとえどんなに優秀な人が実行しても絶対結果が出ないような、
「スジの悪い事業アイディア」というのは存在します。
複数のメンターが数ヶ月もアドバイスしているにもかかわらず、
根本的なスジの悪さを自覚できずに、
生き恥を晒すような裸の王様のパレードをさせてしまうこともあります。
原因の一つはアドバイスする側のスキルや経験の問題。
モバイルやクラウドの事業計画を
スマホを使ったこともなければコードも書いてないジジイに相談しても
まともなフィードバックは帰ってこないのは当たり前です。
アドバイスする側も嫌われたくないので
アホなアイディアをアホだと言い切れずに
無駄なディスカッションを延々としてしまうという心理的な側面もあります。
アドバイスする側にも
相当な知識やスキル、厳しい愛情と覚悟が必要です。
一方で、
アドバイスされる側の問題もあります。
逆切れしそうなツッコミにくい雰囲気を醸しだしてしまう人。
アイディアに対する批判を個人に対する批判と混同してしまう人
間違った答えの言い訳を延々とディスカッションしてしまう人。
また、そもそも全く他人に相談しない人もいます。
コンサル業界でも、
「アホな人が賢いコンサルに相談するんだろう」というのは世間の誤解で、
「コンサルを受ける人はコンサルより賢い」というのが現実です。
謙虚で健全な自信がある人が上手にアドバイスを受けています。
Coachabilityという言い方をされることもありますが、
アドバイスを聞く側にもability(能力)が必要なのです。
アイディアをいろいろな人に何回も何回も話していると、
だんだん自分が信じこんでしまう現象が起こります。
原因の一つは、繰り返しの罠。
いろいろな人に事業アイディアをプレゼンすると、
プレゼンを一番多く聞かされるのは、結局、プレゼンター本人です。
何度も何度も同じ事を繰り返し聞くと、
どんなにクソのようなアイディアでも深く信じてしまうのは
カルト教団の洗脳にかぎったことではありません。
2つ目の原因はスキルの問題もあります。
事業アイディアを思いつくような人は
かなりハイスキルなので、
クソのようなアイディアでも
綺麗にまとめて売り込むことはできてしまいます。
最後に、意地の裏返しという心理的な側面もあります。
新しい事業アイディアを話しても、
他人の反応はイマイチなことは多く、
「戦う君の歌を戦わない奴らが笑う」状態で冷笑されます。
「ナニクソ!」と毎回心に誓うのですが、
意地の裏返しが自己洗脳に拍車をかけます。
亡霊のように、
事業アイディアは発案者にしぶとく取り憑きます。
プロジェクトは始めるのは簡単ですが、
辞めるのが一番むずかしいです。
一つのアイディアに固執すると、自己洗脳を起こしたり、
やることがそれしかないのにそのプロジェクトを辞めるのは
人事上も難しいので。
プロジェクトを辞めるためには
他の新しいプロジェクトをスタートさせることが
手っ取り早いです。
辞めるべき事業アイディアがあれば、
他の事業アイディアをスタートさせることによって
早めに成仏させることが
上級者は非常にうまいです。
経営コンサルティングという他社の事業をお助けするのが本来の職業ではあるのですが、
新しいものをハンズオンでつくるのが好きなので
自社でも新規事業をやっております。
AngularJS, Ruby on Rails, PhoneGapなど
かなりエッジな技術を仲間とワイワイと研究しつつ
私自身の孤毒を抜いてもらいながらプロジェクトを進めています。
ご興味のある方は、ご一報ください。
来週、セミナーがあります。
前回のセミナーでも
100万ユーザ規模のサービスを立ち上げた大企業ベンチャーの役員さんや、
大企業の事業部長さんや、ベンチャー企業の経営者など、
意識の高い様々な方々が一緒にディスカッションして
「クラス名簿」を自主的に作って仲良くされていたのは微笑ましい光景でした。
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11/30 セミナー
本日は以上です。
入野