中期経営計画とは?
こんにちは、経営コンサルタントの入野です。
中期経営計画書のポイントを解説させていただきます。
中期経営計画って、どんな内容を書けばいい?
経営計画書の目次は以下の通りです。
- エグゼクティブサマリー
- 事業立ち上げの経緯
- マネジメントチーム
- 会社概要
- 経営理念・事業理念
- 商品・サービスの概要
- 儲けの仕組み
- 市場および競合の分析
- マーケティング/営業
- 立ち上げ戦術
- 成長戦略
- オペレーション計画
- 人事戦略
- 財務計画
- 資金調達
- 出口戦略
- リスク管理
- プロジェクト管理
よく忘れがちなのは
7. 儲けの仕組
12.立ち上げ戦術
17.プロジェクト管理
という3つの目次。
他のセクションに散りばめている経営計画書のテンプレートが一般的には多いですが、
独立した目次・セクションとして強調するべきです。
また、経営計画=数字という意識が強すぎて
「14.財務計画」のExcelの数字の計算にこだわり過ぎる人も多いですが、
数字よりも、その数字の根拠となる他のセクションがより重要です。
中期経営計画の「中期」って、どれくらいの長さ?
目安は3年。5年は長すぎです。
いろいろな理由はありますが、
実務上の大きな理由はTerminal Value(永続価値)の算出ロジック。
経営計画で企業価値を算出する際に、よくある間違い:
中期経営計画の計画対象期間(n年)が長すぎる
↓
Free Cash Flow(n年後)の予測がハズれる
↓
Terminal valueの予測もさらにハズれる
↓
Firm valueの予測も大幅にハズれまくる
となるからです。
Firm value (企業価値)≒
計画期間n年間のFree Cash Flow + n年以降のTerminal Value
実は、多くのケースで、
計画期間n年間のFree Cash Flowの占める割合は非常に少なく、
Firm valueの80%以上がTerminal Valueで占められるのです。
そのTerminal Valueを決めるのは、事実上、n年時点のFree Cash Flow。
マルチプル法や永久成長率法の計算式を見れば
結局はn年時点のFCFがTerminal Valueを決めていることが分かります。
[マルチプル法]
Terminal Value = n年時点のFCF × マルチプル倍率
[永久成長法]
Terminal Value = n年時点のFCF × (1+g)/(r-g)
マルチプル法や永久成長率法のいずれを適用するにしても
n年時点のFCFをいかに正確に予測するかによって
企業価値の大半は決まり、
経営計画の精度に大きな影響があるのです。
最近は特に、超低金利のために割引率も低いので
n年時点のFCFのズレ⇒Terminal Valueのズレ⇒Firm Valueのズレ
というn年時点の未来を予測する精度の問題は
ますます大きくなりつつあります。
そこで、n年を何年後とするかというのが実務上はとても悩ましいところです。
どのような業界でも事業環境の変化は激しくなるばかりで
5年後のFree Cash Flowを予測するのは非常に難しく
3年後のFree Cash Flowでさえ、予測可能性としてギリギリです。
経営計画が安定成長シナリオならば
3年であっても5年であっても
Free Cash Flowの予測をするのは可能かもしれません。
しかし、経営計画がV字回復シナリオの場合は
5年はとても無理です。
3年のシナリオならば、Free Cash FlowがV字の形を描けますが、
5年のシナリオならば、W字の山あり谷ありシナリオも考えられ、合理的な予測は不可能です。
5年よりも3年ぐらいが「適切」というより、「限界」でしょう。
本日は以上です。
入野