Tokyo AIMの可能性

Tokyo AIMとは?

こんにちは、経営コンサルタントの入野です。

先日、東京証券取引所をクライアントさんとともに訪問し、
Tokyo AIMのお話を担当者の方から聞いてきました。

Tokyo AIMとは?ロンドン証券取引所の新興市場AIM(Alternative Investment Market)をモデルに、
東京証券取引所が日本で新たに立ち上げる予定の新興市場のことです。

個人投資家を排し、プロ投資家(機関投資家と金融資産3億以上の個人)限定というのが大きな特徴です。

市場が開設されるのはまだまだ来年以降の予定ですが、
マザーズやジャスダックなどの既存市場の問題点を解決する可能性を秘めているので、ベンチャー業界に関わる者としては、非常に期待しております。

 
 
 

■ Tokyo AIMの可能性1: J-SOXと四半期開示の義務がない

ベンチャー企業にとっての悩みの種はJ-SOXと四半期開示。

上場前には内部統制の整備に膨大なコストと時間を費やし、
上場した後でも四半期決算の開示負荷が大きくのしかかります。

Tokyo AIMはJ-SOXや四半期開示は上場要件ではないので、
ベンチャー企業にとってはずいぶん楽になります。

 
 
 

■ Tokyo AIMの可能性2: 資金調達額は今よりマシに?

最近の既存の新興市場の市況は悪すぎます。

 

08年1-6月の新規上場企業は24社のみ。
上場による資金調達額が5億円以下であった企業が全体の61%にも上り、
新規上場時の公募価格の平均PERは15倍弱と歴史的低水準にとどまっています。

一方で、ロンドンAIMの平均PERは約30倍とのこと。

投資家はプロなので、厳しい企業価値評価にはなりますが、
少なくとも今の日本市場のPERよりはマシということです。

 
 
 

■ Tokyo AIMの可能性3: 上場後の株価暴落は少ない?

日本の既存市場の現状は、IPO直後に個人投資家が群がり、あっという間に引いていくのが典型的なパターン。

ロンドンAIM市場は良くも悪くも流動性はあまりなく、
中長期的な観点から企業価値を評価したプロ投資家が売買をするので、
経営者が個人投資家に惑わされなくてすみます。

 
 
 

■ Tokyo AIMの可能性4:海外からの投資

既存の日本の新興市場は海外の投資家が本格的には参加していません。
日本企業だけが上場していても限界があるのです。

ロンドンAIMは上場会社のうち20%がイギリス国外の会社というグローバルな市場です。

Tokyo AIMもアジア諸国などの海外企業が上場し、海外の投資家がより関心をもつような市場になるかもしれません。

国内の投資家より海外の投資家に評価されやすいグローバルなビジネスをしている企業は
海外からの投資マネーを期待できるかもしれません。

 
 
 

良いJ-Nomadを見つけることが大切

ロンドンAIMは時価総額20兆円以上という世界最大の新興企業向け市場です。
その成功のカギはNomad(Nominated Advisor)という制度。

日本でもJ-Nomadと呼ばれる同様の制度を導入する予定です。

J-Nomadの多くは証券会社で、上場審査の実質的な部分を行う義務を負い、
上場後も継続して適正開示のサポートをおこないます。

ベンチャー企業にとっては、
上場審査の実質的なハードルが証券取引所から証券会社へ移ったことを意味し、
上場後の開示や資金調達についても長期的にお世話になるので、
従来よりも証券会社との付き合いの意味がより大きくなるわけです。

本日は以上です。

入野

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