事業計画書の形式美
こんにちは、経営コンサルタントの入野です。
本日は事業計画の中身というより形について解説します。
事業計画書というと、
財務計画のPLやBSのエクセルの塊を
イメージする方も多いと思います。
しかし、財務計画は
事業計画全体の目次のあくまで18分の1程度。
事業計画書のパワポに
エクセルを貼り付けるのもNG。
財務スキルがない人ほど、コンプレックスがにじみ出てしまって
「頑張って、エクセルで計算しました」というアピールとして
エクセルを貼り付けてしまいがちです。
財務諸表は
大企業から中小企業まで同じ切り口で分析できる便利な成績表ですが、
パンダとグルズリーのレントゲン写真を見比べて、
全く違う生き物の生き残り戦略を分析するようなもの。
PLやBSを分析しても死体を解剖するようなもので
手遅れになる前の先行指標や、
エクセル計算のもっと手前の定性的なストーリーがより大切です。
ページ数が無駄に多い事業計画書はよくあります。
「パワポ1枚何円」で大量の資料を量り売りする商売は
コンサル業界にかぎらずホワイトカラー全般に横行しています。
シンプルであるほど知恵と努力が必要ですが、
ページ数が多いほど「がんばったね」という評価をしがちだからです。
がんばった感の強いページ数が多い事業計画書は
全否定も含めたガチの議論になりにくいだけでなく、
網羅的に考えているだけで、メリハリや捨てる決断をしていなかったり、
仮説が外れた時にスピーディに変更しにくいのが難点です。
最近はやりのInception DeckやBusiness Model Canvasが良い所は
机上で書いて変更する文字の量が圧倒的に少ないので、
現場での実務や仮説検証タスクに時間をより多く使えます。
メインメッセージはそっちのけで、
3秒しか見ない絵やグラフの作成に3時間もかけてしまう「ビジュアル系事業計画書」は
よく見かけます。
時間とリソースが無限にあれば、細部へのこだわりは重要ですが、
限られた時間とリソースで結果を出すためには
骨となるメインメッセージに集中せざるを得ないのが現実です。
事業計画はビジネスマンとしての総合力や姿勢がにじみ出てしまうので、
中身はないのにビジュアルだけでごまかしきることはできません。
上級者は、
揺るぎない骨となるメインメッセージの整合性に集中し
たとえPCが壊れたり、紙さえない素手の状態でも
オーディエンスの前に仁王立ちできる骨太な人です。
本日は以上です。
入野