事業計画書のワード
こんにちは、入野です。
1000本以上の事業計画書のレビューや作成をしている経営コンサルタントです。
「事業計画書のテンプレートないですか?」
事業計画書の作成を支援していると、こんな質問をよくされますので、
どんな事業計画書のテンプレートやサンプルがいいのかを簡単にまとめ、
入野がおススメするテンプレートをダウンロード提供させていただきます。
最近はIPO市況が芳しくないこともあり、ベンチャーキャピタルも銀行も官僚的になっています。審査は基本的に減点法です。記述モレがあればそれだけを理由に「○○が見えない」という理由で簡単に落とされます。
以下のような目次が網羅させている事業計画書のテンプレートを選びましょう。
- エグゼクティブサマリー
- 事業立ち上げの経緯
- マネジメントチーム
- 会社概要
- 経営理念・事業理念
- 商品・サービスの概要
- 儲けの仕組み
- 市場および競合の分析
- マーケティング/営業
- 立ち上げ戦術
- 成長戦略
- オペレーション計画
- 人事戦略
- 財務計画
- 資金調達
- 出口戦略
- リスク管理
- プロジェクト管理
特に注意したいのは
7. 儲けの仕組
10.立ち上げ戦術
18.プロジェクト管理
という3つの目次。
他のセクションに内容を散りばめている事業計画書のテンプレートが一般的には多いですが、
独立した目次・セクションとして強調するべきだと思います。
金融機関向けに事業計画書をわざわざ書く理由は
儲けの仕組 ⇒ 「で、この事業って儲かるのか?」
スタートアップ戦術 ⇒ 「ゼロから1をどうやって立ち上げる?」
プロジェクト管理 ⇒ 「カネをあげたら、次の週は何やるの?」
という疑問に答えられるようにするからです。
SWOT分析やマーケティングの4P、外部環境分析のFive Force Analysisなどのフレームワークがデフォルトで付いている事業計画書のテンプレートをよく見かけますが、注意が必要です。
理由は:
- 考えるヒントとしてフレームワークで考えること自体はいいが、考えることと表現することは別の話である。
- ありきたりのフレームワークばかりであると、
「あ、この人は自分の頭で考えてないな・・・」と経験あるベンチャーキャピタルは感じる。
考えるヒントとしてフレームワークをつけてくれている事業計画書テンプレートは親切なのですが、
テンプレートを使う側としてはフレームワークに埋没しないように注意しましょう。
事業計画書の作成を指導するセミナーでは、事業計画書を清書する前に頭の中を整理するために「ワークシート」を提供してくれることがあります。
親切ではあるのですが、あまりよくはないと個人的には感じています。
理由は:
- ワークシートと事業計画書を二重に書いたり、転記するような手間や時間は忙しい起業家はかけるべきではない。
- ワークシートをわざわざ提供するのは「そもそも事業計画書を書けないレベルの低い人」の思考プロセスをガイドするため
ワークシートが清書版の事業計画書と別にあってもいいですが、すでに事業を走り出していて時間もなく有能な経営者はワークシートは無視してイキナリ事業計画書の清書に取り掛かることをおススメします。
「○○業界用のテンプレートってないですか?」とよく言われるのですが、業界特化のテンプレートは必ずしも必要ありません。
理由は:
- 金融機関の業界知識には限界があり、業界関係なしに同じ視点で事業性を判断している
- 業界が違っても事業計画で検討するべきことの本質は驚くほど同じ
ちなみに、同じ業界の知り合いから同業他社の事業計画書を横流ししてもらう方もいますが、あくまで参考にするだけにしてください。
- ゼロベースで考えたほうが産みの苦しみはあっても結果的にはいい事業計画ができるケースが多いので。
- 他社の事業計画のマネをしすぎると差別化ができない
赤や青、緑でカラフルに表や図を表現したテンプレートをよく見かけますが、白と黒の2色でシンプルなフォーマットをおススメします。マッキンゼーなどのプロフェッショナルファームなども最近はシンプルなフォーマットを採用しているようです。
理由は:
- 金融機関の側ではカラー印刷やカラーコピーをしてくれるとは限らないから
- 最近はみんながカラフルな事業計画書を提出するので、白黒のほうが逆に目立つから
- カラフルだと一見キレイだが、本当に言いたいメッセージがぼやてしまうから
アパレルなどの色彩感覚が尊ばれる特殊な業界以外はできるだけシンプルなフォーマットをおススメします。
最後に当たり前のことを強調しておきます。事業計画はテンプレートよりも中身が大事です。
事業計画の内容自体が圧倒的に大事なので、テンプレートはあくまで思考の質とスピードの底上げ程度だと思ってください。
本日は以上です。
入野