経営判断: 「正しい決断」or 「早い決断」
こんにちは、経営コンサルタントの入野です。
本日は「経営者の意思決定」について解説します。
「あの人が言ったから」という意思決定をしてしまう経営者は、
権威に弱かったり、失敗に備えて言い訳を事前に作ってしまったり、
いろいろですが、共通するのは自分の頭で考えていないこと。
優れた経営者ほど人を信じる力を持った人格者で、
優秀なブレーンを持っているのは確かですが、
「あの人が言ったから」という意思決定は決してしません。
事実に基づいて自分の頭と腹で決断しています。
質のいいアドバイスをできるだけ多く集めることは本当に大切ですが、
経営者は最後は自分で孤独な決断をするしかないのです。
たった1つの正しい意思決定をするために、
数十の根拠となるロジックを積み上げなければならないことがあります。
意思決定が正しいかどうかは
各ブロックの仮説がどれだけ検証されているかにかかっています。
しかし、ベンチャーの現実は、すべての仮説を検証するのは限界があります。
先例に乏しい新規事業は検証不可能な仮説も多く存在するし、
検証にかけるコストや人的リソース、時間がない場合も多くあります。
「うーん、この部分が分からないなぁ。もう少し、調べて!」と
部下を使うのも限界があるのです。
そこで必要なのは
どの部分が未検証であるかを意識しつつ、あえて浮石に足を置く勇気です。
意思決定のスピードと正確さはトレードオフの関係にあります。
「正しいけど遅い意思決定」と「間違ってるけど早い意思決定」。
どちらがマシかを場面によって割り切らなければいけないのです。
意思決定をするのが経営者の仕事ですが、
必ずしもすべての意思決定をやるべきではありません。
現場に権限委譲をしたほうが意思決定のスピードが早まる場合など、
経営者が意思決定をするべきでない場合は多くあります。
特に、上級の経営者は、
次世代のリーダーを育てるために、あえて部下に意思決定をさせる場合もあります。
意思決定をする力は、自分で悩んで悩んで決断し結果責任を負うという経験を何度も繰り返さなければ、
なかなか身につかないからです。
自分では答えが分かっていても、
次世代のリーダーに意思決定を権限委譲し、
たとえ間違った意思決定でもあえて呑みこむ懐の深さと覚悟を持っています。
本日は以上です。
入野